福島への熱い思い
震災の爪痕残る福島で、2011年9月14日から6日間連続でライヴを行うイべント『LIVE福島 風とロックSUPER野馬追』が開催されたのは記憶に新しい。このイベントに参加したミュージシャンや関係者のインタビュー、そしてイベントの模様を収めた写真が掲載されたLIVE福島の公式本が、2011年11月10日に発売された。250ページを超える情報量の中に、福島に対する様々な思いがぎっしり詰め込まれている。
(画像はAmazonより)
参加したミュージシャンは、福島出身者が中心。福島出身者以外のミュージシャンも、福島に対して何らかの縁がある人、もしくは音楽で何かを伝えようとする者が集合した。インタビューでは、それぞれの視点で福島への思いを語っている。掲載された写真からは、当日のイベントの熱気がそのままストレートに伝わるものばかり。そして演者や観客、関係者の声が本人の顔写真とともに掲載され、LIVE福島に参加したすべての人を丸ごと包みこんだ、父親のような公式本になっている。
心を打つ言葉
4日目の9月17日、イベント期間中最大のステージ規模となった郡山で、実行委員長の箭内道彦はこう語った。「猪苗代湖ズの“I LOVE YOU & I NEED YOU ふくしま”を聴いて、こんなことを言われたのを思い出します。『この歌を聴くと、福島から逃げられなくなる』『福島に、ずっと、ずっといて頑張んなきゃって思ってしまう』それは、僕たちの本意ではありません。避難していく人、避難しない人、避難したくても避難できない人、避難したくないのに避難しなければならない人。それぞれが様々な状況の中で、福島が好きという気持ちだけ共通で持っていたい。それだけの歌です。今日、このコンサートをたくさんの人に見てもらうのも、福島を好きになって、好きだからずっと忘れたくなくて、ずっと忘れないで。東京の新聞の一面から福島が消えても、福島のことを忘れないでもらうために。このコンサートが明日も明後日も続きます。」純粋な気持ちから出た言葉は、このイベントに参加した人の心に真っ直ぐに突き刺さったはずだ。
(松本 良太)
LIVE福島 風とロックSUPER野馬追