九州新幹線が舞台
2011年の6月に公開され、くるりが音楽を担当した映画『奇跡』のDVDが、早くも11月9日に発売される。監督は是枝裕和、主演は漫才コンビのまえだまえだでお馴染みの前田兄弟。脇を固める役者陣も豪華で、オダギリジョー、大塚寧々、希木樹林、長澤まさみ、阿部寛、夏川結衣など、書ききれないほど多くの俳優が出演している。
九州新幹線開通をきっかけにして、離れ離れに暮らしていた兄弟が久しぶりに会い、新幹線にまつわる奇跡の噂を信じて行動する、というストーリー。子供たちの会話は普段の話し言葉にかなり近く、是枝監督の台本を作らずに現場の雰囲気で演出やセリフを決める独特の手法が浮き彫りとなっている。
(画像はAmazonより)
是枝作品に音楽が挿入されることは珍しい
当初の予定では音楽を入れるつもりはなかったと、是枝監督は語っている。しかし映像を観たくるり側から、入れる入れないは別にして音楽ができてしまったんですという報告があり、その出来上がった音楽を聴いた是枝監督は、映像を全く邪魔しない、完璧に寄り添ったその音に感動し、音楽を挿入することを決断したそうだ。
今から電車に乗り込むぞという意気揚々とした気持ちの高ぶりを、くるりは“最終列車”で見事に表現している。全編通して映像とベスト・マッチングしたくるりの音楽は、背景やセリフと肩を並べるほどこの映画には欠かせない歯車になっている。
映画には、チャートバスターズRという音楽番組の名前も登場する。これは架空の番組ではなく、福岡で深夜に放送されている実在の音楽番組だ。メジャーからインディーズまで、幅広く音楽を紹介している。是枝監督も公開前にこの番組のインタビューを受けており、その模様も放送された。
『奇跡』はDVDで初回限定版と通常版の2種類がある。DVDの他にブルーレイも同時に発売される。秋の夜長に是枝節を堪能するのもまた一興だ。
(松本 良太)
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