コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンが発行する、月刊メンズ雑誌『GQ JAPAN』の最新号では、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)が、東日本大震災の前後で変化した“音楽”の意義について対談している。
イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)とは、細野晴臣(64)、高橋幸宏(59)、坂本龍一(59)のトリオからなるグループのこと。
対談では、3月11日の東日本大震災以降、3人揃って積極的に音楽活動を行ってきた経験を踏まえ、「3月11日の後の1ヶ月ぐらいは音楽を聴いたり、音を出したりする気分になれなかった(坂本)」と、震災当初を振り返る。
また、病気がちになり入院をした高橋も、日常を忘れようとライブを楽しむのではなく、非日常から逃れるために足を運ぶ場所となった“音楽イベント”の変化を語り、「ありえない非日常が今は日常になっちゃって、僕もそうだけど、みんな呆然としたままなんだよね(坂本)」と嘆く。
さらに、「今いちばん何を訴えたいかというと日常を返してくれということ(坂本)」に呼応するかのように、「自分が言い出しっぺで始めたイベント(細野)」である月1回のライブを、「今はこの活動をやるべきだと思ってやっています(細野)」、「僕たちの作る音楽にもその気持ちは必ず込められている(高橋)」と、メンバーのいまの共通認識が見受けられる。
人々に日常が戻るまでは、「非日常」を表現していたミュージシャンやパフォーマーが、「日常」を提供しなくてはならない現実を見るにつけ、地震、津波、原発事故が描きだした“今の日本”は、社会を動かしていると思われていた人たちの「我欲」と、“庶民”と自己申告する国民の「他力本願」とが、いびつに組み合わさった、重苦しい「風景」であることを、改めて感じざるを得ない。
コンデナスト・パブリケーションズ・ジャパンリリース