カートの歌声は流れ続ける
1994年の4月5日に
カート・コバーンがこの世を去ってから、18年の時が経った。今も変わらず、この世界では彼の歌声が何千、何万というスピーカーから流れている…。
カート・コバーンと
NIRVANAはいつから伝説になってしまったんだろう?個人的には、1991年に全世界で1000万枚以上のセールスを記録したモンスターアルバム『
NEVERMIND』に収録されている「
Smells Like Teen Spirit」がヒットする前から
NIRVANAを知ってたので、伝説になってる今現在でも、某音楽雑誌でののんびりしたインタビューやふざけている写真。レディングフェスティバルでの変な踊り。来日公演で「
Smells Like Teen Spirit」を演り忘れそうになったりしていた、ずっこけ三人組のグランジロックバンド。それが
NIRVANAの印象であるのだが…。
伝説のグランジロックバンド
しかし、若い世代には
Led Zeppelinや
Jimi Hendrixの様な伝説のバンド。ロック界の絶対的な存在としてトップに君臨しているのも揺ぎ無い事実である。90年代初頭に、煌びやかだったシーンをグランジロックという爆弾で、音楽は勿論、ファッション等の流行までもガラッっと根底からひっくり返して変化させたという影響力や功績からいっても、そう称されるのは決して間違いでは無いし、それだけの魅力も実力もあったバンドであるという事に反論は無い。
有名過ぎる曲であるが故に
「Smells Like Teen Spirit」だけが好き。この曲しか知らない。と言う人も存在するのは悲しい事である。
古くから伝わるロックの良さを基本的な芯としつつ荒削りなオルタナティブバンドとしての立ち位置や音楽性。パンク、ハードコアが持つ破壊衝動や自虐性の混在。そういった相容れない成分が奇跡的なバランスで内包されていたのが
NIRVANAの魅力である。
NIRVANAはオリジナルアルバムとして、3枚の作品を残している。1993年発表の『
IN UTERO』は、世界的ヒットをした自分達をもう一度、原点から見つめ直す為の作品であった。
カート・コバーンの内面を深く掘り下げた歌詞や、陰々滅々とした暗い音楽性が「
Smells Like Teen Spirit」を求めていたファンには拒否されるというケースもあったのは残念ではあったが。しかし、そこに広がっている美しくも儚い狂気の世界は何故か心地良く、ノイズの向こう側に広がるメランコリックなメロディは暖かささえも感じさせる。実は
NIRVANAとしては、一番完成されている作品であった。
トリビュート作品の意義
NIRVANAには「
Smells Like Teen Spirit」以外にも素晴らしい曲は沢山存在している。そういった楽曲群を改めて聴いて貰う為にも、トリビュートアルバムの存在価値は大きい。先日リリースされた、日本を代表するアーティストたちによる
NIRVANAのトリビュートアルバム『
NEVERMIND TRIBUTE』は、リリース初日(4月3日付け)のオリコンデイリーチャートでは8位を記録。オリジナルの『
NEVERMIND』を忠実に再現している本作は、参加しているバンド、アーティストの全てが
NIRVANAの楽曲、
カート・コバーンのアティテュードを理解しており、今まで日本で発売された数枚の
NIRVANAトリビュート作品よりも、ずっと尊敬の念と愛情に溢れている名盤であると感じた。
(画像はAmazonより)
『NEVERMIND TRIBUTE』
01 Smells Like Teen Spirit / ONE OK ROCK
02 In Bloom / LOW IQ 01
03 Come As You Are / BACK DROP BOMB
04 Breed / 10-FEET
05 Lithium / MAN WITH A MISSION
06 Polly / 大橋トリオ
07 Territorial Pissings / 9mm Parabellum Bullet
08 Drain You / →Pia-no-jaC←
09 Lounge Act / Four Minutes Til Midnight
10 Stay Away / THE NOVEMBERS
11 On A Plain / ROACH
12 Something In The Way / SiM
NIRVANAの楽曲は様々な歌い手により、その姿を少しだけ変化させ、今日も世界中に新たなロックの芽を産み出している。
NIRVANAという存在をどう見るか?彼等の音や詞から何を感じ取るのか?正解は無い。あったとしても、ソレを他人に押し付けるのは野暮と言うモノであろう。感じ方は人其々で良い。
カート・コバーンの意志は、人間の歴史が続く限り未来永劫受け継がれていくのだから。
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