2003年リリース
表通りを明るく照らす太陽。その様子が浮かんでくる。北村英治にクラリネットを吹かせたら、それはもう無敵だ。クラリネットだけでも一級品なのに、テディ・ウィルソンのピアノが加わるという、奇跡のような組み合わせ。この贅沢を味わってしまったら、明日地球が滅亡しても思い残すことは何もない。
(画像はAmazonより)
テディのピアノは、跳ねるような軽快なタッチが特徴。小気味良さから快感まで、とにかく音楽の楽しさを凝縮したようなプレイ、それが彼の持ち味。そして北村のクラリネットは、懐かしさを演出する一面もありながら、軽快なピアノに溶け合う柔軟さも持ち合わせている。“I’ve Found A New Baby”では、ピアノとクラリネットのユニゾンが見事で、他の収録曲でお互いを引き立て合う演奏とは一味違う印象だ。
テディのソロでは躍動感で満ち溢れていた“After You’ve Gone”は、北村が参加することで程よく中和され、少しまろやかになっている。しかし躍動感が失われたわけではない。前面に出ていたものが、内に秘めたものとして姿を変えただけで、触ると火傷しそうな温度はそのままだ。彼らは、出会う運命だったとしか言いようがない。このアルバムがそのことを証明している。
(松本 良太)
収録曲
1.On The Sunny Side Of The Street
2.Time On My Hands
3.I Can't Get Started
4.I've Found A New Baby
5.Stars Fell On Alabama
6.Whispering
7.Dream A Little Dream Of Me
8.Body And Soul
9.After You've Gone
10.Someday Sweetheart
Amazon 北村英治&Teddy Wilson After You've GoneITunes 北村英治&Teddy Wilson After You've Gone