ミニシアターのゆくえは
「字幕の漢字が読めない」「ナチスってナニ?」と映画文化と若者の学力低下が結びつく冗談話がちらほら耳に入る。
とは言え、平成22年の映画興行収入は過去最高の見通し。映画文化は衰退どころか興隆しているのだ。しかしここで注目すべきは座席数200程度の小規模劇場、大手映画会社から独立したミニシアターが次々に閉鎖に追い込まれているという現実。渋谷では今年、9月に渋谷シアターTSUTAYA、11月末にシネマ・アンジェリカ、3スクリーン制だったシネマライズも規模縮小、シネセゾン渋谷が来年2月ごろに閉館予定と燦燦たる商業戦績だ。
芸術としての映画に目を向けない――ミニシアター関係者は軒並み、若者の美的感覚の単純化を嘆いている。しかしあるいは、単純化とは感性が研ぎ澄まされたという言い方も出来ようか。中身の薄さと感性の鋭さ、若者の美的感覚推移にどう合わせるか。来年2011年、ミニシアターが独自の価値観を打ち出せるかどうか、見ものである。