エディ・マーフィー(1961~)
2011年公開予定、黒人版の『オーシャンズ』と期待されている怪盗劇、『トランプ・ヘイスト』への出演が決定しているのは、クリス・タッカー、クリス・ロック、ジェイミー・フォックス、デイヴ・チャペルといった層々たる俳優たちである。企画段階から本作品に携わり、自らも出演予定であった俳優、それがエディ・マーフィーだ。息つく暇のない機関銃トーク、圧倒的な陽気さで物語をとびきり盛り上げる人物である。尚、諸事情でエディは同作品から身を引く事となり、彼の代わりにはベン・スティラーが出演する予定。

1961年、アメリカのニューヨークにて生まれる。本名はエドワード・レーガン・マーフィー。アフリカ系アメリカ人の家系、父は警察官、及びアマチュアのコメディアン俳優、母は電話交換手。兄がいる。幼少時代に両親が離婚し、その後は母とアイスクリーム屋経営者の再婚者と生活を始める。当時テレビなどで活躍していたアフリカ系アメリカ人のコメディアン、ビル・コスビーやリチャード・プラヤーに多大なる影響を受ける形で、自らも同業への憧れを強くする。1976年、15歳から自作のコメディ劇を書き始め、翌1977年、16歳からスタンダップ・コメディの役者として活動を始める。次第に実力が認められ、1980年、19歳、名コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のレギュラーに抜擢、同番組における成功によって一気にスターダムを駆け上る。1982年、21歳、警官物のコメディタッチ作品、『48時間』にて映画初出演を果たし、続けて『ビバリーヒルズ・コップ』、『星の王子 ニューヨークへ行く』、『ホワイトハウス狂奏曲』などで好演、コメディ俳優としての注目を浴びる。その後は一時的に不振に陥るも、1996年、35歳、ジェリー・ルイス監督、主演の『底抜け大学教授』のリメイク作品、『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』にて1人で7役を演じるという怒涛の演技を披露せしめ、再び脚光を浴びる。以後、『ドクター・ドリトル』、『ショウタイム』、『アイ・スパイ』、『デイブは宇宙船』、『エディ・マーフィーの劇的1週間』などのコメディ作品にて好演する一方、ジェイミー・フォックス共演『ドリームガールズ』における真面目な役柄も評価は高い。また、1998年、37歳にて出演したディズニー映画『ムーラン』からは声優としても注目され、2001年、40歳、ドリームワークス社の傑作3Dアニメ、マイク・マイヤーズ、キャメロン・ディアスらと共に『シュレック』の声優に抜擢、同4作シリーズに渡り、物語に欠かせぬドンキー役を演じきる。他、歌手としても活躍しており、『星の王子――』や『シュレック』などの挿入歌を自ら歌う機会も多い。
1993年、32歳、ニコールと結婚し、5人の子どもをもうけるも、13年後の2006年、47歳にて破局。2007年、48歳、恋人の歌手メラニー・ブラウンとの間に子どもをもうけるも、諸般のいざこざから結婚には至っていない。2008年、49歳には映画製作者のトレイシーと挙式を挙げるものの、2週間で破局した。尊敬する歌手はエルヴィス・プレスリー。スタートレックの大ファンである。
ちなみに、直接の親交はないのだが、エディ・マーフィーはシルベスタ・スタローンと些やかなる因果の関係を持ち合わせている。1986年、スタローン主演『コブラ』は、連続殺人犯を追う破天荒な刑事が主人公のアクション作品であるが、元来は『ビバリーヒルズ・コップ』としてスタローン本人が用意した脚本であった。パラマウント社側との意見の相違によりスタローンが降板、代わりにエディの出演が決まる。また、この『コブラ』製作直前にスタローンは女優ブリジット・ニールセンと結婚しているが、同作品製作中にブリジットの浪費癖、そして彼女とエディとの浮気が明らかになり、すぐに2人は破局。ブリジットは翌1987年、エディ主演『ビバリーヒルズ・コップ2』への出演を果たしている。言うまでもなかろうが、快い関係ではない。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Eddy Murphy(IMDb、英語)