クリス・タッカー(1972~)
ジャッキー・チェン主演の軽快なアクション作品シリーズ、『ラッシュアワー3』にてドン・チードルと共演している俳優、それがクリス・タッカーである。愛嬌のある容姿から繰り出される矢継ぎ早のジョークや挙措が、躍動感のある軽妙さ、陽気さを醸し出している人物である。
1972年、アメリカのジョージアにて生まれる。本名はクリストファー・タッカー。アフリカ系アメリカ人の家系、父は管理人会社経営者、母は熱心なキリスト教信者。幼少時代からスタンダップ・コメディの世界に憧れを抱き、1990年、18歳、コロンビア高校卒業後はロサンゼルスへ移住、コメディアンとして地道に活動を始める。次第に才能が認められ始め、1992年、20歳、当時流行っていたHBOテレビのコメディ番組へレギュラー出演を果たし、人気を博す。同番組ではスタンダップ・コメディの他、映画タッチのコメディフィルム『クレイジー+ファンキー+ハイパー+パワービート』を主演、製作し、映画人としても注目を浴びる。1995年、23歳、名ラッパーであるアイスキューブ共演『フライディ』、1997年、25歳、チャーリー・シーン共演『ランナウェイ』などの好演を経て、同年、リュック・ベッソン監督、ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ共演『フィフス・エレメント』にて突飛な役柄を見事に演じきる。翌1998年、26歳、ジャッキー・チェン共演『ラッシュアワー』に抜擢、ジャッキーの相棒役として物語を盛り上げる。以後は『ラッシュアワー』シリーズなどへの出演の他、長寿コメディ番組SNLにも出演。またこうした俳優としての仕事の他、テレビ番組などの製作者としても活躍を続けている。
『ラッシュアワー』共演者のジャッキー・チェンは親友。マイケル・ジャクソンと共にがん患者の少年一家を支援した事をきっかけに、生前のマイケルとも親しい。マイケルの楽曲『You Rock My World』のビデオクリップにも出演、共にダンスを踊っている。他、アフリカ外交の際に何度か同行する機会があった事から元アメリカ合衆国大統領ビル・クリントンとも親交がある。
ちなみに、先述の少年一家とは、先のマイケル・ジャクソン裁判を通じ、今や悪名高き人びととなったギャビン・アルビーゾ少年一家の事。この一家は数々の有名人たちの同情心を盾とし、縦横無尽に自らの利欲の為に奔走した。マイケル・ジャクソンはその一番の被害者である。彼らにとって唯一真実であると言えるのはギャビン少年が病気である事だけであり、その他は全て醜悪なる貪欲さ、醜悪なる功名心がふんだんに盛り込まれた詐欺行為であった。いや一体、彼らのような人間が、我々と同じ人間なのだろうか。どうしてそこまで悪魔の声に耳を貸せるのか、筆者には不思議でならない。尚、クリス・タッカーも彼らの詐欺行為の憂き目に遭った1人であり、マイケル裁判の際には無実の裏付けとなる強力な証言を行っている。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Chris Tucker (IMDb、英語)