エド・ハリス(1950~)
ハンス・ジマーに師事したハリー・グレッグ=ウィリアムズが音楽を担当した、マイケル・ベイ監督、ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー共演のアクション傑作『ザ・ロック』にて、元アメリカ海兵隊員のテロリスト役を演じた俳優、それがエド・ハリスである。冷徹と威厳の雰囲気の中に、強固な知性と温かな人間味を醸し出す人物だ。
1950年、アメリカのニュージャージーにて生まれる。本名はエドワード・アレン・ハリス。父はシカゴ美術館の書店事務員、及びコーラス奏者、母は旅行代理店の事務員。兄と弟がいる。少年時代からフットボールに打ち込み、1965年、15歳、高校進学後もフットボール選手として活躍、キャプテンとしてチームを優勝に導く。1968年、18歳、スポーツ奨学金を得てコロンビア大学進学後もフットボールを続けるも、やがて興味を失い、スポーツから遠ざかる。1970年、20歳、大学を中退、オクラホマへ移住。この頃から演劇に興味を抱き、同年、オクラホマ大学へ入学、演劇の勉学を始める。1973年、23歳にて卒業後は地元の劇場での活動を経て、1977年、27歳にてカルフォルニア芸術大学へ入学、再び演技の研究に励む。翌1978年、28歳にて映画初出演を果たし、『ボーダーライン』、『ナイトライダーズ』、『ジャックナイフ』、ジェームズ・キャメロン監督『アビス』、トム・クルーズ、ジーン・ハックマンら共演『ザ・ファーム 法律相談所』などを経て、1995年、45歳、トム・ハンクス主演の史実作品『アポロ13』、オリバー・ストーン監督、アンソニー・ホプキンス主演、元アメリカ合衆国大統領ニクソンを取り上げた『ニクソン』、上記『ザ・ロック』、ジム・キャリー主演『トゥルーマン・ショー』といった作品にて好演、これらの成功により映画俳優としての地盤を確固たるものとする。以後、ジュード・ロウ共演、第二次大戦時におけるスターリングラードの戦いを舞台とした『スターリングラード』、ラッセル・クロウ主演の史実作品『ビューティフル・マインド』、音楽家ベートーヴェンの伝記作品『敬愛なるベートーヴェン』など、重厚なヒューマンドラマなどにて好演を続けている。また、2000年、50歳、『ポロック 2人だけのアトリエ』では初監督を務め、その後も『アルパーサの決闘』にて監督、製作、脚本を務めるなど、製作としての仕事でも活躍をしている。
1983年、33歳、『プレイス・イン・ザ・ハート』にて共演した女優エイミーと結婚、1人の子どもをもうけて現在に至る。『エデンの東』などを描いた作家、ジョン・スタインバック著、『怒りの葡萄』が愛読書。同作品は1939年のアメリカを舞台に、大干ばつと耕作機械によって土地を奪われた農民たちの旅を描く物語。『怒りの葡萄』はジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演にて、『エデンの東』はエリア・カザン監督、ジェームズ・ディーン主演にて映画化がされ、どちらも大成功を収めている。
ちなみに、『敬愛なるベートーヴェン』の共演者ダイアン・クルーガーは、ニコラス・ケイジ主演のアドベンチャー作品、『ナショナルトレジャー リンカーン暗殺者の日記』でもエドと共演を果たしている。前者の作品においてエドが容姿を変えているだけに、この共演に気が付かぬ者もいるであろう。尚、後者の作品にてエドが演じたラストシーンは、オリバー・ストーン監督、ベトナム戦争を舞台にした『プラトーン』におけるウィリアム・デフォーの印象深い場面をインスパイアしたものである。そしてそもそも『プラトーン』の同場面は、白土三平による日本の忍者漫画『ワタリ』の一幕からイメージしたとのことである。またついでながら、ニコラス・ケイジ役の日本語吹き替えを担当しているのは、『メタルギアソリッド』シリーズのスネーク役で有名な声優、大塚明夫。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Ed Harris (IMDb、英語)