菅野よう子(1964~)
映画音楽の第一人者と言うべき人物、『インディ・ジョーンズ』、『スターウォーズ』、『ハリー・ポッター』などのテーマ曲を手掛けているジョン・ウィリアムズが賛美している音楽家、それが菅野よう子である。古今東西の音楽を織り交ぜ、あらゆるジャンルの音楽を作曲、編曲、何でも描ける実に巧みなる人物だ。主には現代ジャズフュージョンといった音楽ジャンルに当てはまりそうであるが、近未来系からオーケストラまで、彼女の楽曲はこれに留まらない。
1964年、日本の宮城にて生まれる。本名は書き方のみ違い、菅野陽子。父は大学教授、母は看護婦である。少女時代から音楽へ才能と興味を示し、音楽コンクールで入賞を続ける。1985年、21歳、大学在学中に音楽バンド「てつ100%」にキーボードとして参加、『てつ100%』、『あと3cm』、『Jack in the box』、『素直』といった楽曲を発表する。1989年、25歳、「てつ100%」解散後は独立して作曲、編曲活動に専念。『信長の野望シリーズ』『大航海時代シリーズ』などのテレビゲーム作品、宮崎駿監督『紅の豚』編曲、『∀ガンダム』、『攻殻機動隊』テレビシリーズなどのアニメ作品、日本映画やCMなど、あまねく音楽分野において活動を続けている。「4/4キック」と呼ばれる定間隔のバスドラム音を好まないにも関わらず、その作品の世界観を考慮し『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の』楽曲にこの技術を取り入れるなど、自らの趣味、主義にはあまり執着しない柔軟性を持った音楽家である。
日本のドキュメンタリー番組として有名な『世界の車窓から』のテーマ曲を手掛けるなど、日本のテレビ界で広く活動している作曲家、及びチェロ奏者の溝口と結婚し、現在に至る。本人の楽曲の中に度々登場する謎の歌手Gabliela Robinは、公言こそしないまでも本人である。
ちなみに、菅野は時折、一人称を「俺」と評することがある。2010年現在、男性の一人称としては「俺」、「僕」が、女性の一人称としては「私」がほぼ例外なく一般的であり、女性が自らを「俺」と表現するのは意識的に個性の差別化を図りたい場合にのみ使用される。こうした第一人称の多様性は東洋語圏で垣間見られる現象であり、ヨーロッパ語圏では概ね、一人称は固定的である。――さて、半世紀後、1世紀後、2世紀後。日本にはどのような一人称が生まれているだろうか。あるいは、そこまで日本という国が残っているだろうか。
ムービーデータベース(IMDb、英語)<a href=" http://www.imdb.com/name/nm0437819/" target="_blank">Yokko Kannno (IMDb、英語)</a>