[過激で豪快、際どいジョークとほとばしるコメディの躍動、スクールやキング・コング]

『俺たちニュースキャスター』、『隣のリッチマン』、『テネイシャスＤ　運命のピックを捜せ！』、『トロピックサンダー/史上最低の作戦』といったコメディ傑作にて、ベン・スティラーと仕事を共にしている俳優、それがジャック・ブラックである。過激で豪快な表現力があり、際どいジョークを交えながら、躍動感に溢るる愉快なコメディ作品に仕立てる人物だ。
1969年、アメリカのカリフォルニアにて生まれる。本名はトーマス・ヤコブ・ブラック。両親は宇宙望遠鏡の衛星技術者、父はイギリス系、母はユダヤ系である。父がユダヤ教に改宗する形で、ジャックはユダヤ人家庭の中で成長する。1979年、10歳、両親の離婚により父に引き取られる。学生時代から演劇への才能と興味を抱き、1988年、19歳、カリフォルニア大学進学後、ティム・ロビンス主催の劇団「アクターズ・ギャング」に参加、積極的に演劇の才能を磨き続ける。1990年、21歳、大学を中退し、本格的に舞台、テレビ番組などでキャリアを積み、1992年、23歳、ティム・ロビンス監督『ボブ★ロバーツ/陰謀が生んだ英雄』で映画初出演を果たす。1994年、25歳、俳優カイルと共にコメディ、音楽バンド「テネイシャスD」を立ち上げ、舞台やテレビ番組などで活躍する一方、ティム・バートン監督『マーズ・アタック！』、SFテレビドラマ、『Xファイル』の第3シーズン、ウィル・スミス共演『エネミー・オブ・アメリカ』など、俳優としても地道に活動。2000年、31歳、『ハイ・フィデリティ』のオタク役が大好評を収め、続けて翌2001年、32歳、『愛しのローズマリー』を好演、2003年、35歳、学校を舞台にした痛快ドラマ作品『スクール・オブ・ロック』にて大成功を博した事から、これらにより映画俳優としての地盤を確固たるものとする。以後、『ナチョ・リブレ　覆面の神様』、『テネイシャスＤ　運命のピックをさがせ！』、『僕らのミライへ逆回転』、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』、『起源１年が、こんなんだったら！？』といったコメディ傑作にて好演を続ける他、『アイス・エイジ』、ウィル・スミス、アンジェリーナ・ジョリー、ロバート・デ・ニーロら出演『シャーク・テイル』、『ザ・シンプソンズ』、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ジャッキー・チェンら出演『カンフー・パンダ』などで声優としても名演技を披露し続けている。

2006年、37歳、チェロ奏者のターニャと結婚、2人の子どもがいる。『ショーシャンクの空に』、『ミスティック・リバー』などでお馴染みのティム・ロビンスとは、上記の通り仕事を共にした人物であり、また親友。プロ・レスリングの熱狂的なファンである。ロックに精通し、自身のギタリストとしての腕も秀逸。2008年、39歳、『カンフー・パンダ』の取材の際、妊娠中のアンジェリーナ・ジョリーの子どもが双子であると口を滑らせているが、どうやら他の取材風景なども鑑みるに、サービス精神が高じると社会人というよりもコメディアンとしての血を優先させる模様である。

ちなみに、『スクール・オブ・ロック』において、学生たちが初めてセッションをする際に使用した楽曲は、ロック史上最も有名なリフ《Riff》――繰り返しメロディ――を含む、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」。1972年に発表されたアルバム『マシン・ヘッド』の収録曲である。また、ジャック演ずるデューイの部屋には、あらゆるロックバンドのポスターやステッカーが貼り付けられている。ブラック・サバス、ザ・フー、セックス・ピストルズ、ラモーンズ、ザ・クラッシュ、メガデス、AC/DC、ラット、ビースティ・ボーイズ、スティービィ・レイ・ボーン、ナイン・インチ・ネイルズ、レディオヘッド、ケミカル・ブラザーズ、NOFX、フガジ、セイヴ・フェリス、アリス・イン・チェインズ、カンニバル・コープス――といったロック界を代表する面々であるが、果たして、ロックを知らぬ者にはまるで呪文である。



ムービーデータベース（IMDb、英語）
Jack Black (IMDb、英語）