[屈託なき陽気な皮肉屋、アカデミー賞司会者、モンスターやアナライズ]

ディズニー社は創始者ウォルト亡き後も、引き続き人類に明るい創作芸術を提供し続けている。2001年、ディスニーとピクサーが共同で製作し、後にディズニーランドのアトラクションも開設されたCGアニメ長編作品、『モンスターズ・インク』にて、主人公、緑色の愉快な怪物マイクの声を演じた人物、それがビリー・クリスタルである。スタンダップ・コメディアンとしての確かな才能を買われ、アカデミー賞の司会者を8度も務めている。
1948年、アメリカのニューヨークにて生まれる。本名はウィリアム・エドワード・クリスタル。ロシア系、ウクライナ系のユダヤ人の血筋。父はジャズ音楽のプロデューサー、及び音楽会社の重役。叔父は作曲家。こうした家庭環境により、幼少時代からショービジネスに縁が深く、彼自身も興味を覚える。1963年、15歳、ロングビーチ高校進学後は野球に打ち込み、1966年、18歳、野球奨学金を得てマーシャル大学へ進学する。その後方向転換をし、1968年、20歳、ニューヨーク大学演劇科へ転学、これより本格的にスタンダップ・コメディアンの道を志す。また一方、ビリーは同大学にてマーティン・スコセッシから、映画製作の技術を学んでいる。1971年、23歳、大学卒業後はスタンダップ・コメディアンとして地道に技術を磨く一方、テレビ番組の出演や製作にも携わりキャリアを重ねる。1975年、27歳、長寿コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』のレギュラー出演を果たし、コメディアンとしての地盤を確固たるものとする。1978年、30歳にて映画初出演を果たすとコメディ俳優としても注目され、メグ・ライアン共演『恋人たちの予感』、『シティ・スリッカーズ』、ロビン・ウィリアムら出演のシェイクスピア作品『ハムレット』、ロバート・デ・ニーロ共演『アナライズ・ミー』、『アナライズ・ユー』などへの出演を続けている。また監督、製作、声優としての活躍もあり、『モンスターズ・インク』、宮崎駿監督の長編アニメ映画『ハウルの動く城』のカルシファー役などにて好演している。2012年、ビリー37歳にて公開予定の『モンスターズ・インク２』においても、引き続きマイク役を演ずる事が決まっている。

1970年、22歳、ジャニスと結婚し、2人の娘がいる。娘のジェニファー、リンゼーは現在、どちらも女優として活動中。幼少時代、父の仕事の関係で、壮絶な人生を送った名ジャズ歌手、ビリー・ホリディがよく家を訪ねてきたとの事で、彼女がベビーシッター代わりにクリスタルをあやしていた事も多い。2008年、60歳、粋な計らいによりニューヨーク・ヤンキースと1日のみ契約、青年時代に抱いた野球選手を夢を叶えた。

ちなみに、『モンスターズ・インク』は、怪物たちが人間の子ども達を怖がらせ、その叫び声によって電力発電をするモンスターズ株式会社を舞台としているが、東京ディズニーランドの新アトラクション「モンスターズ・インク“ライド＆ゴーシーク！”」では作品後の世界を舞台としている。そういう訳であるから、モンスターズ株式会社の社訓は《WE SCARE BECAUSE WE CARE》から、《IT'S LAUGHTER WE'RE AFTER》にさりげなく変更がなされている。これは英語の語呂遊びになっており、日本語ニュアンスに意訳をするのであれば、「行歩せよ、恐怖させる為に」から「爆走して爆笑！」に変わったという具合であろう。



ムービーデータベース（IMDb、英語）
Billy Crystal (IMDb、英語）