IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、ベトナムソフトウェア協会(Vietnam Software Association、以下、VINASA)と、2010年9月27日、ITサービス産業の活性及び人材流動の促進を目的としてITスキル標準の展開に関する相互協力協定を締結したことを発表した。
今回の相互協力協定は、VINASAが主体的にベトナム版ITスキル標準であるVRSの展開を推進するフェーズに進んだことを受け、今後ITスキル標準の推進に関する情報交換や技術的な協力を進めるために締結したというもの。
同機構は、ITスキル標準の展開を2007年度から推進しており、過去3年間に渡ってベトナムに専門家を派遣し、ITスキル標準に基づくIT人材評価システムの構築とVINASA会員企業への導入を支援してきており、ITスキル標準のベトナム版であるVRSがVINASAによって策定され、協定に先立ち企業での活用が開始されているという経緯がある。
VINASAとは、2002年のNGO(Non-governmental Organization)かつNPO(not-for-profit Organization)として設立された全国組織のこと。
ITスキル標準(Skill Standards for IT professionals)とは、各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標のことで、産学におけるITサービス・プロフェッショナルの教育・訓練等に有用な「ものさし」(共通枠組)を提供するために策定されたもの。情報サービス産業界を11職種35専門分野に分類し、キャリアフレームワークとしてまとめ、それぞれの分野ごとに、個人の経験と実績に基づいた7段階のレベルを規定している。
ちなみに、VRS(VINASA Ranking System)は、VINASAがITスキル標準をもとに策定したIT人材評価システムの名称。
オフショア開発に関して、ベトナムが中国よりも優位である理由として、設備投資額や人件費の安い点、人材が定着しやすい点、日本人や日本式経営に対して好意的である点や、知的財産保護の意識が高い点などが挙げられるであろう。即戦力ばかりがすべてではない。中長期的な視点から、ベトナムへの期待は高まりつつあるようだ。
独立行政法人情報処理推進機構リリース