ティム・バートン(1958~)
心温かなホラ話を巧みなタッチで描いているのが、ユアン・マクレガー主演の『ビッグ・フィッシュ』である。出演者としてヘレナ・ボナム=カーターやスティーブ・ブシェミら個性的な俳優たちが名を連ねるが、こうした個性派を取りまとめる偉大な個性派監督こそ、ティム・バートンである。得てして創作者という芸術家は自分の持ち味や方向性を十分に把握しきれない事が少なくないが、この人物はその点、自らの才能の全てを把握しており、そしてそれを十分に発揮している。
1958年、アメリカのカリフォルニアに生まれる。本名はティモシー・ウィリアム・バートン。母はお土産店のオーナー、父は野球選手。弟がいる。幼少時代から絵に興味と才能があり、加えてホラーやSFの映画を熱烈に愛していた。そんな彼は自然とアニメーション映画製作への道を歩み始める。1976年、18歳、高校の成績は決して褒められたものではなかったが絵の才能は確かなもので、卒業すると共にディズニーの奨学金の認可を受ける事となり、カリフォルニア芸術大学にて本格的なアニメーションの勉強に励む。1979年、21歳、ディズニー・スタジオの実習生として入社し、『指輪物語』、『きつねと猟犬』などの製作に参加する。転機は1982年、24歳、ストップモーション方式の撮影、6分間の無声白黒映画である『ヴィンセント』を製作してから。映画監督としての道を歩み始めた彼は、1988年、30歳、マイケル・キートン主演の『ビートルジュース』を製作、これが大人気を博する。続くジャック・ニコルソン出演の『バットマン』、『シザーハンズ』、ストップモーションアニメ映画『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』なども大成功を収め、監督として不動の地位を築く。『シザーハンズ』からは名俳優ジョニー・デップと手を組む事が多くなり、『エド・ウッド』、『スリーピーホロウ』、『チャーリーとチョコレート工場』、『コープスブライド』、そして現在公開中の『アリス・イン・ワンダーランド』など、数々の傑作ファンタジー作品を世に送り出している。現在、ティムが1984年、26歳の頃に製作した短編アニメ映画『フランケンウィーニー』を3D長編アニメにリメイクするという作品を製作中。同時に、『アダムスファミリー』のリメイク構想も進行中である。
1993年、35歳、女優リサと結婚するも8年後に破局。間髪入れず2001年、43歳、近年のティム監督作品でお馴染みの女優ヘレナ・ボナム=カーターと結婚し、今に至る。彼女との間に2人の子供がいる。
ちなみに、ティムが大きな影響を受けた作品の中に、日本の傑作SF映画『ゴジラ』があり、少年時代にはゴジラの役者になりたいという夢もあったとの事。『マーズ・アタック』の作品中にはゴジラの映像が挿入されている。黒澤明や小津安二郎など、かつては日本にも素晴らしい映画人たちがおり、世界に多大なる芸術的な影響を与えていたものであるが……
ムービーデータベース(IMDb、英語)<a href=" http://www.imdb.com/name/nm0000318/" target="_blank">Tim Burton(IMDb、英語)</a>