ショーン・ペン (1960~)
アメリカという人種国は日本よりもずっとナイーブな倫理問題が多く、知名度のある人々は常に自分の意見や立場を表明せねばならない。映画人クリント・イーストウッドも同様、国の統治や倫理問題に対する様々な意見を堂々と表明している。イラク戦争には反対の立場を取り、軍に志願しようとした俳優を説得して止めさせた事もあるぐらいである。――さて、その俳優は同監督が『ミスティックリバー』で起用したショーン・ペンだ。この男もまた自分なりの立場を明確にしており、動物愛護団体シーシェパードを支援している事でも知られている。憎悪を連鎖させる不寛容な組織を支援しているのは諸賢にとっても至極残念な事ではあろうが……とにかく、ショーン・ペンという俳優の演技力が見事であるのは事実である。
1960年、アメリカのサンタモニカに生まれる。父は監督、母は女優。兄マイケルがいる。つくづく典型的なショービジネス家庭に育ったショーンは、サンタモニカ高校卒業後、本格的に俳優業を始め、1979年、19歳、テレビ映画に出演する。既に圧倒的な演技力を示した彼はすぐに注目を浴び、1981年、21歳、『タップダンス』で映画初出演。以後、デヴィッド・フィンチャー監督『ゲーム』や第二次世界大戦ガダルカナル島激戦を描いた『シン・レッド・ライン』など、順調にキャリアを重ねて行く。数々の映画賞へのノミネート、受賞がなされ、俳優として不動の地位を築く。そして何より2001年、41歳の頃に出演した『アイ・アム・サム』での自閉症役で、隙の無い完璧な演技を披露せしめ、周囲を驚かせる。ベン・スティラー監督のコメディ映画『トロピックサンダー/史上最低の作戦』にて「ショーン・ペンは完璧過ぎてオスカー賞を取れなかった」などと冗談を飛ばす場面がある。
以後は『ミスティック・リバー』、『21グラム』、『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』など、難易度の高い役柄を見事に演じきっている。2008年、48歳、実在したゲイの議員ハーヴェイ・ミルクを題材とした『ミルク』でも完璧なまでの演技を披露せしめている。結婚暦は2回。1985年、25歳で歌手マドンナと結婚後、4年後に破綻。1991年、31歳、女優ロビンと結婚するも、生活は上手くいっていない様子である。息子、娘がいる。
ちなみに、スパイク・ジョーンズ監督『マルコヴィッチの穴』の中に、何気なくジョーン・ペンがカメオ出演している。この小気味良い奇怪な映画作品の中には、他にもブラッド・ピット、デヴィッド・フィンチャー監督、ウィノナ・ライダーらがさりげないカメオ出演を果たしている。
ムービーデータベース(IMDb、英語)<a href=" http://www.imdb.com/name/nm0000576/" target="_blank">SeanPenn(IMDb、英語)</a>