圧倒的な男臭さと包容力

『彼が二度愛したＳ』でユアン・マクレガーと共演しているのが、ヒュー・ジャックマンである。『Ｘ－ＭＥＮ』シリーズのウルヴァリン役で知名度の高いこの俳優は、『ヴァン・ヘルシング』などでも堪能出来る、男臭く、そして荒々しい雰囲気と演技が見事なのであるが、メグ・ライアン共演『ニューヨークの恋人』、ウディ・アレン監督『タロットカード殺人事件』など、作品によっては優しい美男子という役も演じきっている。実に幅の広い人物と言えよう。
1968年、オーストラリアのシドニーにて、5人兄弟の末っ子として生まれる。そういう意味では、バズ・ラーマン監督『オーストラリア』の主演には感慨深いものもあるであろう。と言っても、彼の両親はイギリス人。父は優秀な会計士。ジャーナリズムを目指しシドニー大学にて学位を取得するも、たまたま履修した演劇の授業に感動して、卒業後は俳優を目指す。演劇学校の卒業後、26歳、本格的な俳優業が始まる。1996年、28歳、テレビ番組を通じて知り合った女優デボラ＝リー・ファーネスと結婚。1998年、30歳の時に出演した舞台『オクラホマ』での演技で国際的な注目が集まり、テレビ番組や舞台のキャリアを着実にこなしつつ、2000年、32歳の時には『Ｘ－ＭＥＮ』のウルヴァリン役に抜擢される。この役が当たって映画界の表舞台にのし上がるも、舞台俳優を続けながら多彩な才能を示している。2008年にはピープル誌の「最もセクシーな男」に選出されるほどその人気も高く、翌年、つまり前回のアカデミー賞では司会も務めている。2度の流産を経験した後、養子として息子、娘がいる。オーストラリアのメルボルンで暮らしており、ピアノ、ゴルフ、ギター、ウインドサーフィンなどが趣味である。インタビュー風景などを見る限り、ヒューの人間像は大変気さくでざっくばらんな、明るい性格であるように見受けられる。

『Ｘ－ＭＥＮ』の最新作である『Ｘ－ＭＥＮ：ＺＥＲＯ』の続編となる作品の製作はゆっくりと進行中。来年の2011年に公開予定。原題は『X-Men Origins: Wolverine 2』。Ｘ－ＭＥＮオリジナルストーリのウルヴァリン１、ウルヴァリン２と分かりやすいタイトルが続いている訳なのだが、日本は妙に洗練されたタイトルを付けてくれてしまったので、この続編の邦訳に悩みそうである。『Ｘ－ＭＥＮ：ウルヴァリン』、『Ｘ－ＭＥＮ：ＦＩＲＳＴ』あたりが妥当だろうか？



Hugh Jackman（IMDb、英語）
Ｘ－ＭＥＮ：ウルヴァリン２（IMDb、英語）