ルイス・マイルストン(1895~)
『ハリー・ポッター』映画シリーズの主人公ハリー役でお馴染みの俳優、ダニエル・ラドクリフであるが、彼は4日前に『西部戦線異状なし』のリメイク作品に主演する事が決定している。このリメイク元となる1930年の作品では、第一次世界大戦を舞台に、ドイツ兵の若者の視点からとても丁寧なヒューマニズムが描かれている。気軽に鑑賞出来つつも、鑑賞後は戦争や平和について深く考えさせる内容だ。監督はルイス・マイルストン。彼は映画文化の成長と共に活躍し、この文化における様々な可能性を示してくれた。
1895年、旧ソヴィエト連邦、現モルドバ共和国であるベッサラビアのキシナウに生まれる。ユダヤ家系。早くから映画という新しい文化に興味を抱き、1912年、17歳にてアメリカに渡る。ここで本格的に映像技術を学び始めるが、1917年、22歳の頃、中立姿勢を保っていたアメリカがとうとう第一次世界大戦に参戦。ルイスはアメリカ陸軍の通信隊に所属し、ここで新兵のトレーニング用映像を製作する仕事を続ける。1918年11月、第一次世界大戦が終わるとロサンゼルスのハリウッドにに移住し、これまでの経験をふんだんに活かす形で映画の仕事を始める。編集、脚本、助監督などのキャリアを積んだ後、1925年、30歳にて初監督を務める。以後、『美人国二人行脚《Two Arabian Nitjht》』、『犯罪都市』などのコメディ作品から、『暴力団』、『西部戦線異状なし』などのヒューマンドラマ作品など、テレビシリーズから映画まで着実に名作の数々を世に送り出して行く。構成や描き方がある程度落ち着いて定まったかのように思えたが、後年となる1960年、65歳、斬新で痛快なクリミナルアクション作品、フランク・シナトラ主演『オーシャンと11人の仲間』が注目され、1962年、67歳、18世紀のイギリスにて生じたバウンティ号の反乱を取り扱った『戦艦バウンティ』はアカデミー賞7部門にノミネートされ、人気を博した。1964年、69歳にて永眠。数々の映画人たちが眠る、ロサンゼルスのウエストウッド・メモリアルパークに埋葬された。
1936年、41歳にて結婚をしている。明朗な人柄だったようで、愛称であるミリーの呼び名で、周囲の人々からはとても親しまれていた。
ちなみに、『オーシャンズと11人の仲間』のフィナーレとなる場面に登場している大きな看板とホテルであるが、これはラスベガスにおける華々しいエンターテイメントの歴史に名を馳せた「サンズホテル《Sands Hotel》」である。1996年6月30日に閉館した。スティーブン・ソダーバーグ監督のリメイク版『オーシャンズ13』には、ジョージ・クルーニー演ずるオーシャンとブラッド・ピット演ずるラスティーが、サンズホテルを懐かしむ場面がある。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Lewis Milestone (IMDb、英語)