スティーブ・マックイーン(1930~)
ジョン・スタージェス監督の傑作アクション映画『荒野の七人』、『大脱走』に主演している俳優、それがスティーブ・マックイーンである。FOX製作の連続ドラマ『プリズン・ブレイク』のマイケル役でお馴染みの俳優ウェントワース・ミラーが、スティーブの雰囲気をどことなく受け継いでいるように感ずる。
1930年、アメリカのインディアナに生まれる。本名はテレンス・スティーブン・マックイーン。父は曲芸飛行の操縦士であったが、テレンスの生後6ヶ月の時点で両親が離婚をし、母に引き取られている。母がアルコール中毒を患う中で混沌とした幼少時代を過ごす。1938年、8歳から母の両親の牧場に引き取られて瞬間的に幸せな時間を過ごすも、母の再婚に伴いカリフォルニアへ移住、以後はギャングとの付き合いもあり、真っ当とは言いがたい道へと逸れて行く。1944年、14歳、窃盗により少年院にて1年半の服役を経た後、1947年、17歳にて海兵隊へ入隊。ここで真面目に軍務に取り組んだ彼は、3年後の1950年、20歳にて名誉除隊をし、その後はバーテンダーや用心棒などで生活の糧を稼ぐ。転機となったのは1951年、21歳、恋人の助言に従って俳優への道を歩む事を決めてから。アクターズ・スタジオの養成所を経てブロードウェイの舞台に立つようになり、1956年、26歳、ポール・ニューマン主演『傷だらけの栄光』にて映画初出演。2年後、1958年、28歳にて出演したテレビ映画『拳銃無宿』の演技で名を知られるようになり、『荒野の七人』、『大脱走』などの作品で俳優としての地盤を築く。以後、傑作と呼べるアクション映画にて名演技を見せ、大きな存在感を示している。1979年、49歳、中皮腫により永眠。海軍の船、または趣味のモーターバイクにて着用していた当時の耐火服などからアスベストを吸引し続けていたのが病気の原因とされている。
趣味から転じて、武術やモータースポーツ技術に秀でており、こうした技能はきっちり作品の方で活かされている。マーシャル・アーツの名俳優、ブルース・リーは彼の師匠に当たり、親しい関係にあった。またブルース・リーの弟子であるチャック・ノリスの道場には、しばらく門弟として武術を学びに通っている。3度の結婚歴あり。
余談ではあるが、マックイーンの表記はMcQueenであるが、諸賢もMcという接頭語の付いた人物を目にする事があろう。McDonalds《マクドナルド》がその良い例であろうが、これは元来、古代北欧語で「~の息子」という意味があった。上記であればクイーンの息子、マクドナルドの息子という意である。現代では純粋に名前の一部として機能しているが、そこにはさりげない祖先の血が流れているのだ。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Steve McQueen (IMDb、英語)