ジェームズ・スチュアート(1902~1997)
『フィラデルフィア物語』にてキャサリン・ヘプバーンと共演し、アカデミー主演男優賞を受賞した人物、それがジェームズ・スチュワートである。裏表のない誠実、善良な人柄を演じ、温かさに満ち溢れた数々の傑作ヒューマンドラマ作品への登場を重ねた人物だ。その功績から、ファンたちは彼を「アメリカの良心」と呼んでいる。
1908年、アメリカのペンシルバニアにて生まれる。本名はジェームズ・メイトランド・スチュアート。父は3代続く金物店の経営者。母はピアニスト。2人の妹がいる。幼少時代、父の友人から貰い受けたアコーディオンをきっかけに、音楽に親しむ。他、内気な少年として模型製作、機械図面製作、化学の勉強などに勤しむが、次第に明朗な性格となり、演劇への興味を示すようになる。1928年、20歳、準大学進学後はフットボール、陸上競技に打ち込む一方、音楽や美術の活動にも積極的に参加をしている。プリンストン大学進学後は建築学、都市工学を修学し、1932年、24歳、同大学卒業後は、ニューヨークへ移住、ヘンリー・フォンダと共に学生劇団に参加する。1935年、27歳にて映画初出演を果たし、続けてフランク・キャプラ監督のヒューマンドラマ傑作『我が家の楽園』、『スミス都へ行く』にて好演、大きな注目を浴び、1940年、32歳にて出演した『フィラデルフィア物語』にて俳優としての地盤を固めた。同時期より世界は第二次世界大戦に突入、ジェームズも陸軍に所属し、爆撃機パイロットとして参戦する。優れた才能を遺憾なく発揮せしめ終戦までに大佐まで昇進したが、これは参戦したハリウッド俳優たちの中でも類を見ない程の高い階級である。1945年、37歳、終戦後は再び俳優として活躍し、『素晴らしき哉、人生!』、『グラン・ミラー物語』、『西部開拓史』などのヒューマンドラマ作品、『ロープ』、『裏窓』、『めまい』、『知り過ぎていた男』などのアルフレッド・ヒッチコック監督作品など、数多くの傑作への出演を続けた。1997年、89歳にて永眠。
1949年、41歳、女優グロリアと結婚し、2人の子どもをもうけている。チャリティー活動を積極的に支援する他、ボーイ・スカウト活動の支援者としても有名で、少年たちの育成に大きく貢献した。詩を書いたり、園芸に勤しんだりと、生活面での趣味もまた温かい。
ちなみに、1946年、38歳にて出演したフランク・キャプラ監督『素晴らしき哉、人生!』は、いわばハリウッド映画界におけるヒューマニズム作品のオベリスクであり、映画の道を歩もうとする若者たちが必ず鑑賞する――と言おうか、せねばならぬ作品として知られている。明瞭な構成と演出、温かな登場人物とストーリー、ほどよい緊張感と嫌というほど感動的な大円団――確かに紛れもなく、この作品もジェームズも、アメリカの良心そのものと言えよう。
ムービーデータベース(IMDb、英語)James Stewart (IMDb、英語)