ゲイリー・オールドマン(1958~)
リュック・ベッソン監督、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン主演『レオン』、ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ主演『フィフス・エレメント』――にて、続けて名悪役を演じた人物、それがゲイリー・オールドマンである。底知れぬ存在感を醸し出してはいるが、ただただ重厚なのではなく、軽妙さも兼ね備えた素晴らしい演技を披露せしめる名俳優だ。
1958年、イギリスのロンドンにて生まれる。本名はレオナルド・ゲイリー・オールドマン。父は元船員の溶接工である。1965年、7歳、父がアルコール依存症に陥り、家を去る。少年時代は歌やピアノ演奏にて才能を発揮し、音楽家への道を希望したが、次第に演劇の世界に魅力を感ずるようになる。1979年、21歳、奨学金を得てローズ・ブルフォード・カレッジの演劇科へ進んで演技の勉学を重ねる一方で、舞台役者としての本格的な活動を始める。それより8年の間、舞台役者としてキャリアを重ね続け、際立つ才能を十分に磨いた後、1987年、29歳、『シド・アンド・ナンシー』にて映画初出演を果たす。同作品の演技が高く評価されると、続けて『ドラキュラ』、『JFK』、『レオン』などの作品でも絶大なる支持を得て、奇天烈な役柄を見事に演じきる名俳優の地位を確固たるものとする。以後、『不滅の恋/ベートーベン』、『バットマン』新シリーズ、『ハンニバル』、『ハリー・ポッター』シリーズ、『ザ・ウォーカー』など、徹底して役柄の演技に打ち込む完璧肌の演技スタイルを貫き、我々の印象に深く残る名演技を披露し続けている。
4度の結婚暦があり、2回目の相手は女優のユマ・サーマン、1990年、32歳にて結婚し、2年後の1992年、34歳にて破局をした。1回目のレスレイとの間に1人の子ども、3回目のドーニャとの間に2人の子どもがいる。2008年、50歳、歌手のアレクサンドラと結婚し、現在に至る。1999年、41歳、父と同じくアルコール依存症を一時的に患い、リハビリセンターに通った事がある。『ハリー・ポッター』共演者のダニエル・ラドクリフとは世代が違えど、非常に仲が良い。
ちなみに、ゲイリー・オールドマンという俳優の存在は同業者たちにとっても深い意味を持っており、ダニエル・ラドクリフ、ブラッド・ピット、クリスチャン・ベイル、ジョニー・デップなど、幾人もの名俳優たちが彼の演技に影響を受けていると語っている。言われてみれば、確かにジョニー・デップの演技などは殊、ゲイリー・オールドマンの風味が垣間見られる所だ。音楽、絵画、文学などと同様、演技という芸術も単に自身の才能から発せらるものではなく、定まった様々なスタイルを吸収、昇華させる事で、新たなる輝きを放つものなのだ。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Gary Oldman (IMDb、英語)