ミラ・ジョヴォヴィッチ(1975~)
リュック・ベッソン監督、『レオン』に登場した俳優たち、ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマンらは、我々に鮮烈な印象を残した。ベッソン監督は同作品の大成功により会社側からの承諾を得て、少年時代から温めていた企画、『フィフス・エレメント』を完成させた。近未来を舞台にした宇宙的な創造世界の描写、軽快な演出と構成、ゲイリー・オールドマン、ブルース・ウィリス、クリス・タッカーらの演技、これらは見事であった。しかし同作品の成功に最も大きく貢献している人物と言えば、女優、ミラ・ジョヴォヴィッチが挙げられよう。ロシア系らしい厳しさのある端正な顔立ち、淡いエメラルドグリーンの虹彩、引き締まった肉体美が、躍動感のある演技と調和する。
1975年、旧ソ連のキエフにて生まれる。本名はミリカ・ナターシャ・ミラジョヴォヴィッチ。父は医師、母は女優である。1980年、5歳、政治的な理由からアメリカへ移住。同年、両親が離婚し、母に引き取られる。小学生時代は『ロシアのスパイ』、『コミー(コミュニスト、共産主義者の略)』と言われ、いじめの対象にされた。イギリスを敵にし、黒人を敵にし、ロシアを敵にし、イスラムを敵にする――多民族国家の寛大な民主主義の背景には、差別による優勢化を図り続けているアメリカ合衆国の姿がある。1986年、11歳、母と共に子役の女優として活動を始める一方、ロシアではモデルとしても活躍をし始める。1997年、22歳、リュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』の主演に抜擢、同作品の好演により大きな注目を浴びた後、同監督『ジャンヌ・ダルク』、アクションゲーム原作『バイオハザード』にて好演、美しく気高い女優としての地位を確立する。以後、『バイオハザード』シリーズのようなアクション映画を中心に出演を続ける一方、1994年、19歳からはミュージシャンとして、2003年、28歳からは自身のブランド「ジョヴォヴィッチ・ホーク」のファッションデザイナーとしても活躍している。来月、2010年9月10日、『バイオハザードⅣ アフターライフ』が、アメリカ、日本にて同時公開予定。
1992年、18歳、俳優ショーンと婚約するも、3ヵ月後に婚約破棄。1997年、23歳、『フィフス・エレメント』の監督、リュック・ベッソン監督と結婚するも、4年後の1999年、25歳にて破局。2007年、35歳、『バイオハザード』の監督、ポール・W・S・アンダーソンと婚約、同年1人の子どもをもうけた後、2009年、37歳、正式に結婚をした。ロシア語の他、英語、フランス語に堪能。武道の鍛錬を積んでおり、特にブラジリアン柔術を修得。ギターの名手。ジャンクフードを取らず、手料理による食生活を徹底している。
ちなみに、『フィフス・エレメント』では、『レオン』に引き続きいてゲイリー・オールドマンが軽妙な悪役を演じているが、実はジャン・レノも数秒間だけカメオ出演している。1時間12分付近、ブルース・ウィリス演ずる主人公がクリス・タッカー演ずるラジオ司会者に取材をされる場面において、ブルースがごくごく短い、素っ気無い回答をするが、これがジャン・レノの声だという事らしい。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Milla Jovovich (IMDb、英語)