リュック・ベッソン(1959~)
何とも軽快なカーアクション傑作、『TAXi』シリーズ3作目の『TAXI3』の冒頭シーンに、シルベスタ・スタローンが堂々たるカメオ出演を果たしている。同ヒットシリーズの製作に携わっているフランス人監督、それがリュック・ベッソンである。観客を飽きさせぬ心地よい演出と構成で、独創的、かつ躍動感のある作品を描き続けている人物だ。
1959年、フランスのパリにて生まれる。両親はスキューバダイビングの指導員。彼らの影響から、リュック少年の夢は海洋学者であった。少年時代、両親に連れられイタリア、ユーゴスラビア、ギリシャを遍歴した後、1969年、10歳、パリに帰郷。同年、両親が離婚、それぞれが再婚している。1976年、17歳、潜水事故に遭い重傷を負い、今後スキューバダイビングが出来ない事態に陥る。この事故から映画への道を模索するようになり、実際、その才能があった。同時期、暇つぶしに書いた独創的な物語は、後にSF傑作、『フィフス・エレメント』となる。1977年、18歳、映画会社の雑用として数々の経験を積み、後にアメリカへ移住。十分な技術を身に付けた後、1983年、24歳、パリに戻り自身の映画会社を設立。以後、『ニキータ』、『レオン』、『フィフス・エレメント』、『ジャンヌ・ダルク』など監督として見事な作品を描く一方、『TAXi』シリーズ、『YAMAKASI』、『トランスポーター』シリーズなど、脚本、製作としても活躍している。2006年、47歳、『アーサー』シリーズの3作品を監督した後、監督業の引退を宣言している。
1986年、27歳、『ニキータ』の主演女優アンヌ・パリローと結婚、1人の子どもをもうけるも、5年後の1991年、32歳にて破局。1997年、38歳、『フィフス・エレメント』の主演女優ミラ・ジョヴォヴィッチと結婚するも、2年後の1999年、40歳にて破局。2004年、45歳にてヴィルジニーと結婚、3人の子どもがいる。彼の作品の中にはしばしば日本人が登場するが、胡散臭いギャグ要素の粋を越えていない。意識的なジョークだと思いたい所であるが、実際に彼の目には日本人があのように映っているのかもしれぬ?
ちなみに、『TAXi』シリーズの主人公ダニエル役としてお馴染みのサミー・ナセリであるが、リュック作品に初出演したのは『レオン』。SWAT隊員の一員として参加をしている。撮影現場にて演技力と存在感を見初めたリュックが、後にサミーの抜擢と相成った。また余談であるが、『フィフス・エレメント』の企画はその斬新さと規模の大きい予算から配給側の承諾が得られず、仕方なく低予算、小規模の作品を映像化する事でキャリアを稼ぐ事となった。こうして作られる事になったのが、映画史に残る傑作ドラマ作品となった、『レオン』。同作品の脚本はわずか2日で書き上げられたものである。映画は、時間とお金を掛けさえすれば良い訳ではない。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Luc Besson (IMDb、英語)