アーノルド・シュワルツネッガー(1947~)
ジュール・ヴェルヌの冒険小説傑作『80日間世界一周』を原作として製作されたジャッキー・チェン主演の『80デイズ』においてハピ王子役としてカメオ出演している人物、それがアーノルド・シュワルツネッガーである。鍛え上げられた肉体とドイツ訛りの英語、無骨だが魅力ある表情と滲み出る圧倒感が見事な人物である。
1947年、オーストリアのシュタイアマルクにて生まれる。本名はアーノルド・アロイス・シュワルツネッガー。父は元ナチ党突撃隊員の警官。幼少時代、アーノルドは父と折り合いが悪く、母に懐いていた。少年時代、地元フットボールチームのコーチを兼ねていた父の影響でフットボールへ没頭。1960年、13歳、トレーニングから派生したボディビルディングに興味を抱き、鍛錬を積む。1964年、17歳よりボディビルダーとしての活動を始め、1965年、18歳、オーストリア軍に入軍。軍務と並行する形でボディビルダー大会への出場を続け、数々の賞を受け、その肉体美から「Austrian Oak《オーストリアの樫》」と評される。1968年、21歳、本格的にボディビルディングへ打ち込む為、アメリカへ移住。サンタ・モニカのゴールドジムにて体を鍛え上げ、最高の名誉である全米ボディビルダーで優勝を飾る。大学へ通い英語を身に付けた後は俳優業への興味を抱き、1970年、23歳、『SF超人ヘラクレス』にて映画初出演。続けて地道にキャリアを重ね、1982年、35歳、『コナン・ザ・グレート』にて注目を浴び、1984年、37歳、ジェームズ・キャメロン監督『ターミネーター』大成功により一気にスターダムを駆け上る。以後、『ターミネーター』シリーズ、『プレデター』、『バトルランナー』、『コラテラル・ダメージ』などアクション映画を中心に出演を続ける。2003年、56歳になると俳優から身を引き、カリフォルニア知事選へ出馬し、当選。2010年現在、『80デイズ』、『エクスペンダブルズ』など、時折カメオ出演として映画に顔を覗かせつつ、カリフォルニア州知事としての職務を全うしている。
1986年、39歳、ジャーナリストのマリアと結婚し、4人の子どもがいる。ドイツ訛りの強い英語を話す一方、ドイツ語もオーストリア方言が強く、標準ドイツ語圏の人びとにはあまり通じない。同性婚、中絶の肯定派。軍用車両ハマーを始めて自家用車として使用した人物。葉巻を愛服しており、特に好きな銘柄はキューバ産のコイーバである。彼と同じ肉体派の名俳優、シルベスタ・スタローンとは良き親友であり、レストランチェーン「プラネット・ハリウッド」の共同経営者でもある。
ちなみに、『80デイズ』よりも前に『80日間世界一周』の物語を映像化したのは1957年の映画『八十日間世界一周』であるが、同作品は斬新な技術や演出がふんだんに盛り込まれた傑作アドヴェンチャーであり、中でもフランク・シナトラなどの超有名人とも言うべき俳優たちが端役として画面の端に登場する手法は大いに観客を楽しませた。すっかり映画文化の遊び心として定着したカメオ出演、これは同作品から始まったものだと言われている。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Arnold Schwarzenegger (IMDb、英語)