日本電信電話株式会社(以下、NTT)と三菱電機株式会社(以下、三菱電機)は、クラウドコンピューティング(以下、クラウド)普及のための新しい暗号方式の開発に世界で初めて成功したことを発表した。
この暗号方式は、暗号‐復号のメカニズムの中に高度なロジック(論理)を組み込むことが可能であり、暗号機能によりきめ細かいデータ送受信制御を行うことができる、全く新しいインテリジェント暗号(「賢い」暗号)となっている。
この暗号方式を用いることで、機密性の高い情報を暗号化したままクラウドで利用することができ、従来は困難とされていた多くの分野でのクラウドの利用が期待できる。
なお、この暗号方式の詳細は、2010年8月に米国で開催される国際暗号学会「CRYPTO 2010」で発表する予定。
CRYPTO 2010とは、暗号分野における最も代表的な国際会議のこと。正式名称は、The 30th International Cryptology Conference。2010年8月15日~19日に、米国カリフォルニア州サンタバーバラで開催される。
共通鍵暗号は、データの暗号化と復号に同じ秘密鍵を用いる暗号方式。高速な処理ができるため、大量のデータを扱う通信メッセージやファイルの高速暗号化や携帯端末の認証などに多く使われている。
公開鍵暗号は、1976年にDiffieとHellmanにより提案された概念。暗号化と復号で異なる鍵を用いる暗号方式であり、暗号化鍵を公開できるため、不特定多数の人々が情報をやりとりするネットワーク上での暗号通信に適している。現在は、共通鍵暗号で利用する秘密鍵を共有するための鍵配送方式として主に利用されている。
双線型写像ベクトル空間とは、楕円曲線上の「双線型写像群」を多重に用いることで、構成される空間のこと。同空間の性質を利用することで、豊富な暗号学的「仕掛け」(トラップドア)が実現可能である。
一頃、「ハッキング」という言葉が悪さをするイメージで語られていたが、本来は「しくみを解析」することで対象となるソフトウェアなりネットワークの不具合を改善することにある。PDCAサイクルに例えられるように、技術は創造と破壊を繰り返しながら洗練されていくものなのだろう。
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