ダスティン・ホフマン(1975~)
ドリーム・ワークス配給、中国拳法をテーマにしたCGアニメ『カンフー・パンダ』では、パンダ役のジャック・ブラック、虎役のアンジェリーナ・ジョリー、猿役のジャッキ・チェン、ヘビ役のルーシー・リュー――などと豪華な声優陣が映画に彩りを添えている。同作品にてシーフー老子の声優を演じた人物、それがダスティン・ホフマンである。現実味のある深いドラマ作品の深い人間像を完璧に模写し、見事な傑作たらしめる人物である。
1937年、アメリカのロサンゼルスにて生まれる。本名はダスティン・リー・ホフマン。父は元舞台芸術監督の家具セールスマン。ロシア系ユダヤ人である。1955年、18歳、ロサンゼルス高校卒業後、サンタモニカ市立大学へ進学。この頃、ジャズピアニストを目指していた彼であるが、演劇科の授業の中で俳優業への興味を覚え、舞台の経験を重ねるようになる。同大学の同級生、舞台の共演者、そしてルームメイトでもあった人物に、ジーン・ハックマンがいる。1959年、22歳、大学卒業後はニューヨークへ移住、教員の職に就きながら端役をこなす。1960年、23歳、リー・ストラスバーグの演劇学校に通いながら、ブロードウェイの舞台にてキャリアを積み重ねる。1967年、30歳にて映画初出演、続けて出演した『卒業』にて大好評を博する。演技の実力が認められた彼は、以後、『真夜中のカーボーイ』、ロバート・レッドフォード共演『大統領の陰謀』、メリル・ストリープ共演『クレイマー、クレイマー』、トム・クルーズ共演『レインマン』など、数々の傑作ドラマ作品へ出演を続け、それぞれまるで趣向の異なる難しい役柄を見事に演じきっている。
1969年、32歳、アンと結婚し2人の子どもをもうけるも、11年後の1980年、43歳にて破局。同年、リサと結婚、4人の子どもをもうけ、現在に至る。166cmと比較的小柄である。『クレイマー、クレイマー』の共演者メリル・ストリープは168cm。より身長差のある共演者とアップのシーンを撮影する際は、セッシュと呼ばれる踏み台を使う事もある。この「セッシュ」の名称は1920年頃にハリウッドで大活躍していた日本人俳優、早川雪洲に由来する。
ちなみに、『真夜中のカーボーイ』という邦題を付けたのは水野晴郎であり、、原題の《Midnight Cowboy》のように「カウボーイ」としなかったのは、大都会のイメージを髣髴とさせるCar《車》を盛り込む意図があったからである。しかし、同作品において車が重要な要素ではない事、むしろ主人公の服装から「カウボーイ」が重要な要素である事、「真夜中」という語彙によって既に都会のイメージを醸し出している事を鑑みれば、題名はそのまま「カウボーイ」でも良かったのではないかしらんと、筆者は感ずる。また余談であるが、『レインマン』のレイモンド役は実在のモデル、サヴァン症候群のキム・ピークがいる。彼は実際に驚異的な記憶力を持ち合わせていた。
ムービーデータベース(IMDb、英語)Dustin Hoffman (IMDb、英語)