
昨年の二月末頃にドメスティックブランド「ナンバーナイン」の解散は発表された。デザイナーの宮下貴裕氏の脱退が直接の原因になったと言われている。その結果、2009-10のA・W、つまりこの冬で「ナンバーナイン」の商品は販売終了となり、春の服を考える日々の中で、一つのブランドの終わりを実感している。
「ナンバーナイン」は1996年に宮下氏が立ち上げ、ファッション界の裏原ブームもあり、爆発的な支持を受けるようになった。
音楽、特にロックに強くインスパイアされた作品は国内外で高く評価され、2000-01A・Wに東京コレクションデビューをし、2004-05A・Wにはパリコレクションデビューも果たした。人気も衰えることなく解散を発表するまで、多くの第三者は、現在がブランドの絶頂期だと考えていた。
衰えない人気の中、これから確固たる地位を作り上げようとする中での解散は、音楽バンドのようでもある。これはあくまで解散であり、再結成もありうるのかもしれない。また、「ナンバーナイン」としてでなくとも、気鋭のデザイナーである宮下氏の今後の活動は注目を集めることになるだろう。