成功の栄誉に安住してはいけない。ユニクロ・トップが語る経営論
柳井正(やない・ただし)氏の著書『成功は一日で捨て去れ』出版・新潮社 定価1470円
カジュアル衣料の製造販売で進展著しいユニクロを中心に展開する企業グループ、ファーストリテイリングの会長兼社長をつとめる柳井氏の、実績に裏打ちされた経営哲学の書である。
ユニクロはいかに最大の危機に立ち向かい、世界一を目指す組織を作り上げていったのか。成功に安住する安定志向が企業を衰退に導く。そう語る柳井氏の実践。現状を否定し、社内改革を続ける同社の経営のかなめが記されている。
ユニクロの低価格・大量販売戦略をビジネスモデルとしてみた場合、低価格販売が企業の利益縮小と人件費の抑制につながるとする批判がある。それに対してユニクロの経営は「日本企業がグローバル化するロールモデル」(経済学者・池田信夫氏)とする識者もいる。
世界情勢の変化と、金融危機以来つづく経済不安の中、今後の企業経営を考える一助となる書籍といってよいだろう。
『成功は一日で捨て去れ』(編集部 宮下知良)