【音源発掘　vol.18】レキシ『レキツ』

美しいポップスに歴史上の固有名詞が散りばめられる。音楽史を紐解いてもおそらく珍しいであろう挑戦は、前作よりもさらに磨きがかかっている。この挑戦に賛同するものは多く、前作の『レキシ』同様、今回もほとんどの曲でゲストが参加している。特に椎名林檎はEMIと契約したのはスーパー・バター・ドッグが居たからというぐらいだから、このことからも池田貴史の音楽家としての魅力がわかるというものだ。


（画像はAmazonより）

歴史とポップスの融合という物珍しさから、話題先行で内容が伴わないような消費の速いものと同じにして欲しくない。そもそもスタート地点が違うのだ。歌詞においては、歴史に関する単語が出てくるのは間違いないが、それをうまく現代の話し言葉に近い表現でまとめ、ポップスの土俵に力技で引きずり込んでいる。そして特筆すべきはサウンドだ。美しいメロディーは前作の延長線上にあり、別世界へと誘うようなアレンジも個性的で、聴けば一瞬で池田貴史だとわかる。それほど彼の音は輪郭がはっきりしている。



聴き終わった後、池田貴史のしたり顔が浮かんでしまった。これほど聴き手を手玉に取る作品が他にあるだろうか。

（松本　良太）


1. 歴史と遊ぼう (日本盤のみボーナストラック)
2. そうだレキシーランド行こう feat.MC末裔・MC四天王
3. きらきら武士 feat.Deyonna
4. ペリーダンシング feat.シャカッチ
5. どげんか遷都物語 feat.織田信ナニ?
6. ほととぎす feat.聖徳ふとこ
7. かくれキリシタンゴ ~Believe~ feat.MC母上
8. レキシ ト ア・ソ・ボ
9. 妹子なぅ feat.マウス小僧JIROKICHI
10. 狩りから稲作へ feat.足軽先生・東インド貿易会社マン