村治佳織がゲスト出演、『鶴瓶の家族に乾杯』レポート

毎週月曜の20時から放送されている、NHKの番組『鶴瓶の家族に乾杯』。ゲストが行きたい土地に笑福亭鶴瓶と共に訪れ、その土地に住んでいる人と出会い、会話をしながら触れ合い、交流を深めていく旅番組だ。2011年12月12日と19日は、クラシック・ギタリストの村治佳織が出演し、長崎県平戸市を散策した。


（画像は村治佳織オフィシャルホームページより）

12日の前編は、鶴瓶と村治が平戸港で待ち合わせをするところからスタート。村治はギターを持参していた。平戸でよく獲れるあご（トビウオ）を地元の方に頂いたりと、番組開始5分で早くも交流が始まる。あごはめざしに良く似ていて、焼いた後木槌で叩き、手で細かくちぎって食べていた。そうこうしているうちに、1人の女性が話しかけてきて、村治にコンサートをする場所を紹介する。『按針の館』という建物で、江戸時代に徳川家康に仕えた三浦按針（ウィリアム・アダムス）が住んでいた由緒ある場所。鶴瓶と村治は気に入りながらも、教会も見てみたいということで保留とする。按針の館に行く途中で出会った農家のお爺さんと、鶴瓶が意気投合して酒を飲み始めた。遅れて村治も現れ、ヒラメの刺身を頂く。ここでも焼いたあごが酒のつまみとして出てきた。

後半は分かれて1人旅。村治が平戸ザビエル記念教会へ行き、下のお土産屋へ撮影許可について尋ねる。入口に書いてある通りに、教会はお祈りの場所であって観光地ではないという理由から、撮影は難しいということだった。お土産屋のご主人がお寺と教会が重なって見える場所があると教えられる。村治が案内をお願いすると、ご主人は快く引き受けてくれた。寺院の塔の奥に教会が見えるという、西洋と東洋の文化の交わりが趣深い。ご主人と歩きながら話をしているうちに打ち解けてきて、教会の中で演奏できるように司祭に許可をもらえるよう頼んでみてくれるという。撮影の許可も取れ、村治が持参のギターで讃美歌の伴奏を始めた。お土産屋の奥さんが讃美歌を歌い、ご主人が歌いながら指揮をし、村治がギターを弾く。美しい歌声と、一音一音丁寧に弾く村治のギターが教会中に響き渡った。

19日の後編は、村治が別の教会へアポを取ってもらっている間に、平戸牛を食べる作戦に。鶴瓶は平戸に多くあるかまぼこ屋をめぐる旅に。村治がおいしく平戸牛を食べている間、鶴瓶は2軒目のかまぼこ屋でさわやかな男性と出会う。独身で相手もいないという男性に、村治を紹介するついでにコンサートに誘う。男性は快くOKする。その後鶴瓶は、別の場所でダイナマイトを作っているという珍しい火薬屋と出会う。村治は2軒目の教会で再び讃美歌と共にギターを演奏する。演奏後は、讃美歌をうたった保母さんの保育園へお邪魔する。昼寝を終えた子供たちが元気にマルモリ・ダンスを披露し、村治も一緒に踊る。一方鶴瓶は火薬屋からお茶を誘われ、家へお邪魔する。ここでも鶴瓶はコンサートの宣伝をしっかり行う。


最後は、按針の館へ戻り鶴瓶と村治が再び合流。今まで出会った人全てが館へ集まり始める。座ることのできる座敷はすべて埋まり、コンサートが始まった。1曲目はThe Bee Geesの“How Deep Is Your Love（愛はきらめきの中に）”。美しいメロディーが村治の弦捌きでより一層の輝きを放つ。火薬屋の奥さんの誕生日を村治の演奏で祝った後、2曲目は“タンゴ・アン・スカイ”を演奏。情熱的なタンゴが村治のギターから奏でられる。村治と最前列の聴衆との距離は数十センチ。手を伸ばせば届くほどの至近距離だ。あの距離で村治の生演奏を聴けるほどの贅沢はない。村治が訪れたいと望んだ平戸でのコンサートは、村治自身も感慨深い思い出になったのではないだろうか。会場に集まった人々の穏やかな顔が、コンサートの雰囲気を象徴していた。

（松本　良太）




村治佳織オフィシャルホームページ

鶴瓶の家族に乾杯　NHK