NHKの音楽番組「ミュージック・ポートレイト」
NHKで毎週金曜日の23時から放送されている、30分の音楽番組がある。その番組の名前は、「ミュージック・ポートレイト」。2人のゲストが対談しながら、自分を奮い立たせる曲を紹介していく。同じゲストで2週にわたって放送され、1夜でそれぞれ5曲づつ紹介する。
(画像はミュージック・ポートレイトより)
シンガー同士だからこそわかること
2012年4月27日・5月4日のゲストは、工藤静香とミッツ・マングローブ。第1夜で工藤が選んだ曲は、シンディ・ローパーの“タイム・アフター・タイム”やローリン・ヒルの“君の瞳に恋してる”といった洋楽のソロ・シンガーが中心。一方、ミッツが選んだ曲は、中森明菜の“ミ・アモーレ”やちあきなおみの“百花繚乱”、そして対談相手の工藤の曲“FU-JI-TSU”など、歌謡曲を中心としたもの。第2夜では、お互いがクラシックを選曲するなど、隠れた共通点も。意外なところでは、工藤が選んだ絢香の“三日月”ではないだろうか。同じシンガーとして衝撃を受けた経緯を語る姿が印象的だった。40代の工藤が、20代前半の絢香を評価するということは、工藤の素直さと絢香の音楽に対する純粋な気持ちが爽やかに交錯していることの表れだ。歌い手同士だからこそ相手の凄さもわかるはずだ。
歌謡曲とクラシックが同じ土俵に立つという、通常の音楽番組にはない切り口で音楽を紹介している功績は非常に大きい。NHKの色が如実に表れているこの番組、今後も注目していきたいところだ。
(松本 良太)
NHK 「ミュージック ポートレイト」