株式会社KDDI研究所(以下、KDDI研究所)は、『Android』を搭載した端末としては初めて、日本ケーブルラボ運用仕様、ならびに、IPTVフォーラム技術仕様に準拠したSTB(Set-Top Box)を試作したことを発表した。
同社では、次世代STBに最適なアーキテクチャや通信・放送連携アプリケーションを検証するために、『Android』をベースとしたIPTV・ケーブルテレビ共通プラットフォームを構築し、共通プラットフォームとケーブルテレビ受信チューナーを搭載したSTBの開発を目指しており、今回の試作はそのマイルストーンとなる。
基本機能としては、「IPTVフォーラム技術仕様準拠のIPマルチキャスト・VOD受信機能(2009年11月に発表)」、「日本ケーブルラボ運用仕様に準拠したケーブルテレビ放送の受信機能を備え、『Android』上のソフトウェアとして」、「通信・放送連携アプリケーションの構築・提供」が可能となっている。
今回の試作が良好であった場合、携帯電話だけでなく、そのアーキテクチャが組込機器のOSにも活用できる『Android』プラットフォームをSTBに採用することで、STBと携帯端末との間でのアプリケーションやサービスの連携が容易になると同時に、ケーブルテレビとIPTVの両方において共通プラットフォームとして採用することにより、ポータルや番組表などの基本STB機能を始め、情報家電やクラウドとの連携など幅広いサービスを横断的に展開することが可能となる効果が期待される。
なお、今回試作された『Android』搭載STBは、2010年12月1日から12月3日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開催される組込み総合技術展「Embedded Technology 2010」のOESF(Open Embedded Software Foundation)ブースにて出展される。
ちなみに、STB(Set-Top Box)とは、ケーブルテレビ放送や衛星放送、地上波テレビ放送(デジタル放送、アナログ放送)、IP放送(ブロードバンドVODなど)などの放送信号を受信して、一般のテレビで視聴可能な信号に変換する装置のこと。「チューナー」や「ホームターミナル」とも呼ばれる。
「Flashが使える点」、「公開性」、「Googleとの親和性」などの優位性をどう生かすか、後発の『Android』が改善する点はまだまだ少なくない。ただ、Linuxの例に見られるように、オープンソースOSがもたらすものは、とんでもなく「化ける」可能性もあり、未来を見据えた戦略が望まれる。
株式会社KDDI研究所リリース