[役者としての声優、無限の可能性を追求するクリエイター] FineNews Today

[役者としての声優、無限の可能性を追求するクリエイター]

　2010年7月2日 12:00　

大塚明夫、小島秀夫（1959～)

宮崎駿監督のアニメ映画傑作『紅の豚』にて、愛すべきアメリカ軍人ドナルド・カーチス役の声を演じていた俳優、それが大塚明夫である。彼の轟くような太く頑丈な声は、この上なく心地よい印象を弾き出している。彼は世界中にファンを持つ傑作アクションゲーム『メタルギアソリッド』シリーズの主人公スネークを演じている。同作品を作り上げた人物、それが小島秀夫である。

大塚明夫は1959年、日本の東京に生まれた。父は俳優、声優の大塚周夫。弟がいる。父の周夫は役者という職業に対して真剣さと情熱を傾けている人物であり、明夫の少年時代は水木しげる原作の名作アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のねずみ男として有名であった。仕事に対してあまりに厳格な父と良好な関係を築けなかった彼は父の勧めに反発し、高校卒業後にトラックドライバーの職に就く。しかし次第に演ずる事への情熱を覚え始め、父親と同じ道を歩む事を決意した。アニメ、映画吹き替え、ゲームにおいて数多くの作品に声優として役を演じ、その役柄は無骨な男からコミカルな役までと幅広い才能を発揮せしめている。必ずや印象に残る声なので、名を知らぬ諸賢もどこかしらで彼の心地よい声質を耳にしているはずである。2008年、49歳の頃には『メタルギアソリッド4』に親子共演を果たしている。

小島秀夫は1963年、こちらも日本の東京に生まれた。しかし父親が数度転勤となり、神奈川県へ向かった後、関西の大阪府を経て兵庫県に移住した為、言葉には関西弁の影響が強い。少年時代はミステリー小説の傑作『刑事コロンボ』を愛し、同シリーズから派生してミステリー、冒険、ＳＦなどの物語に没頭する。またこれと並行し、映画ファンである父の影響から映画への憧れも抱くに至り、学生時代は自主制作の映画を撮影したり小説を執筆したりと、創作的な時間を過ごす。1985年、22歳の大学生時代、黎明期にあったゲームという文化と接し、これに大きな衝撃を受けてゲームクリエイターへの道を目指し始める。1986年、23歳、大学卒業後にコナミへ入社。当時発売されていたゲーム機の性能が低い事を逆に利用して、それ程のコンピューター能力を要求しない、「隠れながらダンジョンを進む」というアクションゲームを作る。この作品『メタルギアソリッド』には操作性に加えて十分な物語性もあって人気を博し、続編も製作される。以後、着実にキャリアを積んだ後、1998年、35歳にてコンピューター性能が格段に進化したゲーム機「プレイステーション」にて、新しい『メタルギアソリッド』を製作。この作品が世界的な評価を受けた事によりシリーズの製作が続行、2004年、41歳にて製作した『メタルギアソリッド３　スネークイーター』はアメリカのゲーム名誉賞ゲームオブザイヤーで7部門を制覇する大成功を収めた。

大塚明夫は2005年、46歳にて声優の沢海と結婚するも、3年後の2008年、49歳にて破局を迎えている。ただし離婚後も名作ロールプレイグゲーム『ファイナルファンタジー12』のように共演する事があり、関係は良好らしい。小島秀夫は独身である。エビとカニが苦手。映画監督ジョン・カーペンターのファンである。尚、『メタルギアソリッド』の主人公スネークの名前や容姿は、先のジョン・カーペンターのＳＦ作品『ニューヨーク1977』の主人公スネーク・プリスキンを模したものである。物語の構成も似ている点がある。

冷戦時代を舞台にした『メタルギアソリッド３　スネークイーター』は、あらゆる点において肉迫した臨場感があり、まるで本当にジャングルの奥地で潜入任務を行っているような共有感覚を引き起こす作品だ。近い未来、ホログラムのような擬似的な立体世界を体感的に楽しめるゲームの技術が開発される事があらば、まっさきにこの作品をプレイしてみたいと筆者は感ずる。